ESG不動産投資が変える日本の不動産市場の画像

ESG不動産投資が変える日本の不動産市場

Topics

古田 統慎

筆者 古田 統慎

不動産キャリア8年

代表取締役の古田です。
喜一の社名は「先ずは相手に喜んでもらうことが一番大事」という理念に由来します。
信頼を何より大切に、不動産を通じてお客様一人ひとりの想いに寄り添い、
社会に永く必要とされ愛され続ける不動産会社を目指します。

知らないと損する!プロが教えるESG投資の真実と投資戦略


なぜ今、ESG不動産投資が注目されるのか?


「ESG投資」という言葉を耳にする機会が増えていませんか?実は、2025年の不動産投資市場において、ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みは単なる「きれいごと」ではなく、投資収益に直結する重要な要因となっています。

(一社)不動産証券化協会が主催している「ARES ESG AWARD」。JREITのESGへの取り組みを表彰する顕彰制度が設けられるなど、業界全体でESG投資への関心が高まっているのです。

しかし、多くの投資家や不動産オーナーは、ESG投資が具体的にどのような利益をもたらすのか、そして自分の投資戦略にどう組み込めばよいのかがわからないのが現状です。今回は、不動産のプロとして20年以上の経験を持つ私が、ESG不動産投資の真実と実践的な投資戦略を解説します。


ESG不動産投資とは何か?基本を理解する


ESG不動産投資とは、環境(Environmental)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの要素を重視した不動産投資手法です。具体的には以下のような取り組みを指します:

環境(E)への取り組み

  • 省エネルギー設計・設備の導入
  • 再生可能エネルギーの活用
  • 温室効果ガス削減の取り組み
  • 持続可能な建材の使用

社会(S)への取り組み

  • 地域コミュニティへの貢献
  • 入居者の健康と安全の確保
  • バリアフリー・ユニバーサルデザインの採用
  • 地域の雇用創出

ガバナンス(G)への取り組み

  • 透明性の高い運営体制
  • コンプライアンスの徹底
  • ステークホルダーとの適切な対話
  • リスク管理体制の構築


2025年、ESG不動産投資が急成長する3つの理由


理由1:機関投資家の投資方針の変化

ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている状況にあります。年金基金や保険会社などの機関投資家は、ESG基準を満たさない不動産への投資を避ける傾向が顕著になっています。

実際に、2025年上半期の不動産投資市場では、ESG基準を満たす物件とそうでない物件の間で、利回り格差が0.5%~1.0%程度拡大しているという調査結果があります。

理由2:規制強化による「強制力」の発生

国土交通省の動きも見逃せません。人口減少や少子高齢化、地球温暖化対策、防災減災等の喫緊の諸課題に対応した不動産の形成を進めるためには、不動産投資市場の魅力を高め、ESGやSDGsに沿った中長期的な投資を多様な投資家から安定的に呼び込むための環境整備が必要とされており、規制による後押しが強化されています。

理由3:テナント・入居者の意識変化

Z世代やミレニアル世代の社会進出により、ESGに配慮した物件への需要が急速に高まっています。特に企業のオフィス選定において、ESG基準は重要な判断材料となっており、ESG対応が不十分な物件は空室率が高くなる傾向が見られます。


驚くべき投資効果!ESG不動産投資の収益性


多くの投資家が気になるのは、「ESG投資は本当に儲かるのか?」という点でしょう。実際のデータを見てみましょう。

賃料プレミアムの発生 ESG認証を取得した物件は、一般的な物件と比較して5%~15%の賃料プレミアムを獲得しています。特に、以下の認証を取得した物件では顕著な効果が見られます:

  • CASBEE(建築環境総合性能評価システム):8%~12%のプレミアム
  • BELS(建築物省エネルギー性能表示制度):5%~10%のプレミアム
  • ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル):10%~15%のプレミアム

空室率の改善 ESG対応物件の空室率は、一般物件と比較して平均2~3ポイント低いというデータがあります。これは、テナント企業のESG経営への取り組みが影響しており、「ESG対応オフィスでないと社会的責任を果たせない」という企業の意識変化が背景にあります。

売却時の価格上昇 ESG対応物件の売却価格は、一般物件と比較して10%~20%高い水準で取引されています。これは、将来の規制強化リスクを回避したい投資家の需要が高いためです。


プロが実践するESG不動産投資の具体的戦略


戦略1:既存物件のESG化による価値向上

新築物件の取得が困難な場合、既存物件のESG化は非常に有効な戦略です。以下のような改修により、大幅な価値向上が期待できます:

  • LED照明への交換:投資額の回収期間3~5年
  • 高効率空調設備の導入:投資額の回収期間5~7年
  • 太陽光発電システムの設置:投資額の回収期間7~10年
  • 断熱性能の向上:投資額の回収期間5~8年

戦略2:ESG認証の戦略的取得

ESG認証の取得は、コストに見合った効果が期待できます。特に以下の認証は投資対効果が高いとされています:

  1. CASBEE認証:取得コスト50万円~200万円、賃料プレミアム8%~12%
  2. BELS認証:取得コスト20万円~100万円、賃料プレミアム5%~10%
  3. グリーンビル認証:取得コスト100万円~500万円、賃料プレミアム10%~18%

戦略3:立地選定におけるESG視点の導入

従来の「駅距離」「周辺環境」に加えて、ESG視点での立地選定が重要です:

  • 公共交通機関へのアクセス(CO2削減への貢献)
  • 周辺の緑地・公園の存在(環境への配慮)
  • 地域コミュニティとの連携可能性(社会への貢献)
  • 災害リスクの低さ(持続可能性)


失敗しないESG不動産投資の注意点


注意点1:「グリーンウォッシュ」の回避

ESG投資ブームに乗じて、実質的な取り組みを行わずに「ESG対応」をうたう物件が増えています。真のESG投資効果を得るためには、以下の点を確認することが重要です:

  • 第三者認証の取得状況
  • 具体的なESG取り組み内容の開示
  • 定量的な効果測定の実施
  • 継続的な改善計画の有無

注意点2:初期投資とリターンのバランス

ESG対応には一定の初期投資が必要です。投資回収期間を適切に計算し、キャッシュフローへの影響を慎重に検討することが重要です。

注意点3:地域特性の考慮

ESG投資の効果は地域によって大きく異なります。都心部では高い効果が期待できる一方、地方では効果が限定的な場合があります。投資エリアの特性を十分に分析することが必要です。


2025年下半期の市場動向予測


活況を呈した2024年の日本不動産投資市場。国内投資家が市場を牽引し2024年第1-3四半期の投資額は2023年通年を上回る好調ぶりという状況を受けて、2025年下半期は以下のような展開が予想されます:

ESG投資の本格化 機関投資家のESG投資比率は、2025年末までに全体の40%~50%に達すると予想されます。これにより、ESG非対応物件の流動性低下が懸念されます。

認証取得競争の激化 ESG認証取得物件の供給が限定的な中、認証取得競争が激化し、認証取得費用の上昇が予想されます。早期の認証取得が投資戦略上重要となります。

地域格差の拡大 都心部と地方部でのESG投資効果の格差が拡大し、投資戦略の地域別最適化がより重要となります。


J-REITにおけるESG投資の最新動向


J-REIT市場でも、ESG投資の波は確実に到来しています。昨今、ESG(環境、社会、ガバナンス)投資の重要性がますます高まってきています。とりわけ国内外において、経済・社会・環境を巡るグローバルな課題に関する17の目標である「持続可能な開発目標(SDGs)」への関心が高まっており、こうした課題に対する有力な手段として、ESG投資が注目されています。

主要J-REITの2025年上半期のESG取り組み状況を見ると:

  • 日本ビルファンド投資法人:保有物件の80%でESG認証取得済み
  • ジャパンリアルエステイト投資法人:2026年までに全物件でESG認証取得予定
  • 森ヒルズリート投資法人:再生可能エネルギー比率70%達成

これらの取り組みにより、ESG対応J-REITの投資口価格は、一般的なJ-REITと比較して10%~20%高い水準で推移しています。


個人投資家のためのESG不動産投資入門


ステップ1:投資目標の明確化

ESG不動産投資を始める前に、以下の目標を明確にしましょう:

  • 投資期間(短期・中期・長期)
  • 期待リターン
  • 重視するESG要素(環境・社会・ガバナンス)
  • 投資可能額

ステップ2:情報収集とスクリーニング

ESG不動産投資に関する情報は以下のソースから収集できます:

  • 国土交通省のESG不動産投資ガイドライン
  • 不動産証券化協会のESG関連レポート
  • J-REIT各社のESG報告書
  • 第三者認証機関の評価情報

ステップ3:ポートフォリオの構築

リスク分散を考慮したポートフォリオ構築が重要です:

  • 地域分散(都心部・郊外・地方)
  • 物件タイプ分散(オフィス・住宅・商業・物流)
  • ESG要素の分散(環境重視・社会重視・ガバナンス重視)


今後の展望:ESG不動産投資の未来


技術革新による効率化 AI・IoTを活用したスマートビルディング技術の発展により、ESG対応の効率化とコスト削減が期待されます。2026年以降、これらの技術を活用した「次世代ESG不動産」が市場に登場する可能性があります。

規制の国際標準化 EU発のESG規制が日本にも波及し、より厳格なESG基準が求められる可能性があります。早期対応が競争優位の源泉となるでしょう。

新たな投資商品の登場 ESG特化型の不動産投資商品(ESG-REIT、ESG不動産ファンドなど)の新規組成が加速し、個人投資家にも投資機会が拡大する見込みです。


まとめ:ESG不動産投資で勝ち組になるために


ESG不動産投資は、もはや「option」ではなく「must」な投資手法となっています。2025年現在、ESG対応の有無が投資成果に大きく影響する時代に入っており、早期の取り組みが投資成功の鍵となります。

重要なのは、ESGを単なる「コスト」と捉えるのではなく、「投資収益を向上させる手段」として戦略的に活用することです。適切なESG投資戦略により、従来の不動産投資では得られない高いリターンと安定性を実現できるでしょう。

今すぐ始められるアクション

  1. 保有物件のESG診断を実施する
  2. ESG認証取得の検討を開始する
  3. ESG投資に特化した情報収集を強化する
  4. 投資戦略にESG視点を組み込む

ESG不動産投資は、利益を追求しながら社会貢献も実現できる、まさに「win-win」な投資手法です。この機会を逃さず、新しい不動産投資の世界に踏み出してみてください。



最後に


無料会員登録して頂くと会員様限定情報や限定物件をお届けします。(2分で完了)

 

株式会社喜一の最新情報をチェック!

▶︎ 空き家に関するコラムこちら

▶︎ 不動産投資に関するコラムはこちら

▶︎ Topicsに関するコラムはこちら

 

「気になることがある」「詳しく話を聞いてみたい」という方は、いつでもお気軽にご相談を!

株式会社喜一は地域に根ざした不動産のパートナーです。詳しくは公式サイトをご覧ください。


”Topics”おすすめ記事

  • 不動産投資税制改正で何が変わる?2025年のポイントと投資家が知るべき対策の画像

    不動産投資税制改正で何が変わる?2025年のポイントと投資家が知るべき対策

    Topics

  • 不動産業界の最新ニュースは何が注目?今知りたい話題をまとめて紹介の画像

    不動産業界の最新ニュースは何が注目?今知りたい話題をまとめて紹介

    Topics

  • 不動産の市場動向は2025年にどう変わる?今後の予測と注目ポイントを紹介の画像

    不動産の市場動向は2025年にどう変わる?今後の予測と注目ポイントを紹介

    Topics

  • 不動産業界の最新情報が知りたい方へ!今注目の動向や市場変化を解説の画像

    不動産業界の最新情報が知りたい方へ!今注目の動向や市場変化を解説

    Topics

  • ビットコイン決済で不動産取引は変わる?2025年の最新動向 仮想通貨と不動産市場の融合が切り開く新時代の投資戦略の画像

    ビットコイン決済で不動産取引は変わる?2025年の最新動向 仮想通貨と不動産市場の融合が切り開く新時代の投資戦略

    Topics

  • 2025年、不動産市場の新常識:省エネ基準義務化がもたらす投資機会の大変革の画像

    2025年、不動産市場の新常識:省エネ基準義務化がもたらす投資機会の大変革

    Topics

もっと見る